2020年2月。
最後に菊ちゃんと旅をした国はマレーシアでした。
まるでコロナを予期していたかのように、
2019年から台湾、パリ、スペイン、ハワイと巡りに巡って最後はマレーシアにてストップ。
ちょうど東京でトイレットペーパーが買えなくなったのがこの頃ですね。
「出来ないものは仕方ない、行けないものは仕方ない」
と他に楽しみを見つけるタイプではありましたが、
最近ふと昔の世界を思い出しては寂しい気持ちになる時があります。
そんな朝はご飯を食べながら、
菊ちゃんの記録し続けてくれたYouTubeでもう一度旅に出る。
映像の中の少しだけ若い私達と共に。。
真冬のパリでは暖かいコートにくるまって街を散策。
猛暑の台北では公園でB級グルメを食べ、ハワイではお気に入りの店までのんびりドライブ。
映像から伝わるこのリアルな空気感にこんなに気持ちが優しくなれるなんて、
「遺す」ことの偉大さ、意味をを強く感じずにはいられません。
いつだって未来だけを見据えて力強く前進できるタイプと、
思い出を確認することで安心して前を向けるタイプがいるわけですが、私は圧倒的に後者の人。
「確かにあの時を生きていた」と確認することで力強く安心して前を向ける、その繰り返しなのです。
昔の世界を思い出して寂しい気持ちになるのは、
決して旅に行けないからではなくて。
突然新時代が始まったことで昔の世界が不要になった、
あの頃大切にしていた色んなものまでが全部、全部置き去りになってしまった錯覚に陥るからだと思っています。
特にメディアや紙面で考え無しに繰り返し使われる新様式、
新生活という類のワードは非常に罪深く、この錯覚に拍車を掛けていると感じています。
(私自身も新時代というワードを簡単に使ってしまっていますね。。)
これからは誰もが新時代と旧時代の間を彷徨う亡霊になり得る事態。
そうなる前に映像や写真で良き時代、
皆それぞれの生きてきた足跡を優しく振り返る時間を意識的に作りたいものです。
今や便利なSNSや様々な管理アプリがあるんだもの。
競争ではなく自分の為に、大切な人の為に有意義に使っていきたいものです。
改めて、映像や写真で遺し続けてくれている菊ちゃんすごいな。
そして冠婚葬祭などの記録を仕事に選ばれて日々奮闘されているプロの皆様も、
まさに未来と過去を繋ぐ時代の使者。本当に素敵な職業です!