食べることは生きること
台湾人が大切にすることは
とてもシンプルで分かりやすい
生活に溶け込んでいる信仰心もその一つであり
悩み別に
上手に色々な神様に拝みに行く。
そのあまりの熱心さに
大人になるまでは少し
嫌悪感すら感じてしまっていた程。
やがて祈るという行為に
自分なりの答えを見出せるようになり
自身の中で静かに祈りを捧げるようになったのは
つい最近の話であります。
そんな私が台湾に帰るときは
基本的には食べることを
最大の楽しみにしているわけですが
一度だけ台北の行天宮への参拝を目的に
帰郷したことがあります。
どうにも自分自身と上手く向き合えなかった時期があり
私は心の平穏を求めて
友人は闘病中の家族の回復を願って
ふと、行天宮に行こうか
と思ったわけです。
行天宮には日本でいうお祓い
「収鷲」を受けられる時間があり
私達も現地の方に混ざって列に並ぶこと10分。
自分からこういったものに参加するのは初めてで
並んでいる間も終始ソワソワ。
いよいよ自分の番が巡ってきたら
氏名を伝えて
荷物は下に置きます。
中国語がわからなければ紙に書いて見せてもok。
代理で来ている場合は
お祓いを受けたい人が身につけているもの
(服やアクセなど)
を名前と共に見せましょう。
心がざわつくとき
事故を見たとき
ショックなことがあったときなど
心の調子が悪いときは
体から魂が離れかけているそうで
しっかりあるべき場所に納めてくれるのがこの「収鷲」。
体と魂がちぐはぐなままだと
やがて病を引き起こし
災いを呼ぶとされ
こういったお祓いを受けにくるわけです。
子供の夜泣きにも良いとされ
列を見ていると子供服を持った方もちらほら。。
「収鷲」は時間にして1分くらいでしょうか。
使者の方が私の体の周りをゆっくり線香でなぞる間
心静かに、その時を待ちます。
この間何を感じるかは人それぞれ
それで良いのだと思います。
私はというと
人々の動きがスローモーションに変わり
次に私の視界がシャーっと
素早く動き回る感覚を味わいました。。
緊張して目でも回っていたのかな?
何これ。。と思う間もなく
使者の方に背中をぽんっと叩かれて
我に返ったところでお祓いは終了。
行天宮から一歩外へ出た体は別人のように軽く
モヤが晴れたかのような清々しさ。
思わずこみ上げるものがあり
ここへ来てよかったのだと
強く確信しました。
後日母に
行天宮へ参拝に行ったと伝えると
「あそう、呼ばれたのね。
行天宮が1番位心地良いんじゃない?」
と言うので真意を聞くと
「あなたちっちゃいとき、毎日あそこで走り回って遊んでいたのよ。」
「皆さんに良くして頂いたわ」
と。
もうこれを聞いて
全てがガチッとハマったわけです。
納得
なるほど
鳥肌。
私の魂は
ちゃんと行天宮での日々を覚えていたようで
行天宮へ連れて行ってくれたのだと思うのです。
今思えばね。。
モヤモヤしている私に
1人で生きている気になるなと。
生かされていることを忘れてはならないと。
諭してくれたのかもしれません。
こうして帰国後に
本当の意味での気づきを得て
私の行天宮参拝は大成したわけです。
ああ、世の中って不思議やねぇ。。
翌年訪れた際にも
お礼参りをしてから
「収鷲」を受けたのだけど
同じ体験をすることはなく
ただただ、心穏やかに清めて頂きました。
この「収鷲」は行天宮以外の場所でも行われていて
やり方も地方によって変わってくるそう。
ここで一つ
信仰心の厚い台湾では北から南まで
本当に多くの廟が存在していて
規模も大小様々。
しかし容易に足を踏み入れたり
お参りすることなかれ。
台湾には陰廟と陽廟があり
その見分けは旅行者にはとても難しい。
道端にひっそり佇むものもあり
むやみに手を合わせたり
覗いたりしないこと。
陰廟は
不幸があった魂の
祟りや怒りを鎮めるためにあるもので
素通りするのが良いでしょう。
そして振り返らないことです。
見るからに「これは。。」
と肌で感じるものもありますが
間違って入ってしまっても
決して名を名乗らぬように。
お参りしたい廟があるときは
どんな場所なのかを事前に調べておくのがベストです。
逆に私が行った行天宮などの
神様に挨拶する際には
住所と名前をもれなく伝えましょう。
但し武神と財神の関聖帝君には
簡単に約束事をしないように。
関聖帝君は信義を固く守ったと伝えられる
有名な武将、関羽様です。
「これを叶えてくれたら大好きな牛肉を一生食べません」
というような
引き換えの約束事は
守られなかった場合に大変な罰を受けるとか。
北から南まで
生活に根付いた台湾の方の厚い信仰心。
自分の内なる声に耳を傾けようと
真っ直ぐに祈る姿は
眺めているだけで
とても優しい気持ちになります。
お腹がいっぱいになったら
ぜひ拝拝へ!
渡台の感謝を伝えに
お参りにいきましょか🏃♂️
拝拝(パイパイ)→お参りする